満天土佐イメージ

燃えろ!探検隊!! の巻



 探検隊ルポ★Vol.6 平成14年9月に行われた「久礼八幡宮秋季例大祭」の様子
Vol.06探検日 H14.9.14 AM0:00〜AM4:30】

プロローグ

昼間の八幡宮その日、
久礼の守り神・久礼八幡宮のたたずまいはいつもと違っていた。(左写真:参照)


 秋の大祭である御神穀祭(おみこくさん)を迎えるにふさわしく、白い幟が風にはためいていた。
そして・・・

未知との遭遇

 深夜12時45分という非常識な時間、探検隊メンバーが久礼の中心部へ集結しつつあった。どこか尋常でない雰囲気・・・それは、道の向こうから響いてくる重低音からもわかろうというものだ。
 別にウーハー車でも何でもなく、太鼓を担いだ若者が十数人、危ない目つきで歩いて来る。身の危険を感じ、思わず路肩へ避ける。後で聞くところによると、松明(たいまつ)を迎えに行く一行だったらしい。祭りは既に始まっていたのであった。
子泣き爺の夜 今回の参加者は隊長以下3名、隊員候補(?)のO君は唯一、寝ていないということであった。 隊長の盟友K・K女史を交えて総勢4名で、「当家(とうや)」へ我々も松明を迎えに行くことにした。夜道にぽつりぽつりと見える明かりは、祭り気分を盛り上げる紙灯篭であった。双名島などの久礼の名所が描かれていると思えば、何故か子泣き爺(写真右)、けろけろけろっぴを描いたほほえましいものもあったりして、それらを見ながら今年の当家である長沢地区へ夜道を歩く。

上がるボルテージ

【こちらは可愛い叩き役】
大人顔負けのバチさばき 先刻の太鼓部隊は、どんどこどんどこ、と演奏を入れつつ、ゆっくりと当家へ向かった。徐々に人が増えていく。到着してみると、この町にこれほど人がいたのかというほどの人だかりに驚いた。土佐の三大祭りの一つといわれるだけのことはあり、町内外から野次馬が集まっているのであった。

 松明がここを出発するのは午前2時ということで、松明がいい具合に燃えるのをひたすら待つ。時折そこらをウロウロする若衆は、かなりアルコール分が入っているようだ。吐く息が、松明に引火するのではと思われた。放心したかのように太鼓を叩く姿は、やはり近寄り難い。広場のボルテージは着々と上がりつつあった。

 見物人の数もどんどん増え、素人玄人入り混じったカメラマンが、ベストショットを狙うべくスタンバり始めた。


たいまつ出発

 午前2時、神主さんやヘルメット姿の現場責任者(?)の動きが慌しくなった。気付くと松明の前にはずらりと担ぎ役の男たちが居並び、後ろには十数本の竹の支えが当てられていた。

 そして、観衆のどよめきと共に、巨大松明はゆっくりと夜空に掲げられた。供物を捧げ持った先達に続き、法被姿の男たちが、八幡宮を目指して歩き始めた。

夜空に赤々と・・・ 後ろをゾロゾロと観衆も続く。松明の後ろからは、明かり役の小松明を担いだ男たちが数人、大松明を守るかのように睨みをきかせながら歩く。
大松明(おおたいまつ)
祭りの主役は静かに燃えながら、天へ放たれるロケットのように、出発のときを待っていた・・・
燃える大松明
出発準備
神主様ご一行
支えが必要
しんがりの松明部隊



ちょっくら休憩 深夜の街中を行進する松明の一行は、勇壮でありながらも厳かな美しさだ・・・と、ありきたりな感想を抱きつつ、ふと足元を見ると路上にはまだ真っ赤に燃えている熾(おき)がバラバラと落ちている。
 行者か我々は!? と、皆慌ててその熾を避けていたが、中には靴を焦がした人もいたようである・・・
行列は、途中幾度かの休憩(大松明は1〜2tはあるという話だった)を挟みつつ、ゆっくりと進んだので、町の中心部に着いた頃には、来た時の5倍ぐらいの時間がかかっていたようであった。

深夜のバトル太鼓

オラーーやったるでぇ 一行の後から付いていく太鼓部隊とは別に、向こうの方から別働隊のどんどこ節が聞こえてきていたのは知っていたが、道が広い場所に出ると、それぞれの地区の太鼓部隊が、不気味な緊張感の中、縄張りを争うオス猫、失礼、さながら竜虎の対図のように、あちらとこちらでにらみ合いを始めた。これが有名な喧嘩太鼓である。
この中へ入るってそれは・・・ 突如、C隊員の左腕をぐいと引っ張る者があった。I隊長は、明らかに普段と違っていた。顔は笑っているが、目は異様な熱気を帯びている。
 先刻の、先発隊と道で行き合った時にも増して、C隊員は背筋を冷たいものが流れるのを感じていた。O君とI隊長の友人は、いつのまにか静かに後ずさっていた(本人は、唖然として立ち尽くしていたのだ、と言い張っていた)。
殺気立つ人々 太鼓部隊双方の間のピーーーンと張り詰めた糸が、ぷつっと切れた音がした(ような気がした)かと思うと、雄たけびとともに男たちはすごい勢いでぶつかり合っていった。...と、それと同時に何故か周りのギャラリーまで前へ前へと押し始めたではないか。むろん、我らがI隊長も同じであった。C隊員はさながら荒れ狂う大海原を漂う一艘の小船のように、群集の中でもみくちゃになっていったのである・・・
わーお母さん、見てみてー そういった喧嘩太鼓が道中あちこちで繰り広げられ、I隊長はますますハイテンションに、我々の服はますますしわくちゃになっていった。
 決して広いとは言いがたい久礼中心部の商店街をも、大松明と太鼓部隊は遠慮なく進んでゆく。
 普段は静かに寝静まっているはずの商店の窓からは、住人である親子が顔を出し、年に一度のこの大騒ぎ、いやお祭りを楽しそうに眺めていた。
こうやって上がったほうが勝ち やっとのことで八幡宮の鳥居の前に到着した頃には、大松明は3分の1ほどの大きさになっていた。しかし拝殿の前まで入るためにはまだ大きすぎるようで、前の広場でもう少し焼けるのを待つということであった。焼き芋を待っている子供のように、皆その周辺でわいわいやりながら時間をつぶす。太鼓部隊も、広い場所に出て思う存分暴れられるためか、「まだやるのか!?」というほど競り合いを繰り返していた。カメラのフラッシュが夜明け前の空にいっせいに閃く。
だっ大丈夫ですか!? そんな様子を見守るかのように、大松明は静かに燃えつづけていた・・・と思ったら燃え方が偏っていたのか、いきなりバランスを失い、ガラガラと崩れ始めたではないか。危ない!という声の向こうに、人が倒れているのが見えた。すわ、怪我人か!?
 倒れた人影は、微動だにしない。大やけどを負っているのか。いや、どうもそうではないようである。救急車も来ないし、周りの者もほったらかしで、またいで行く人さえある。
 後で聞くと、どうやら単にお神酒を召し上がり過ぎただけの男性らしかった。人騒がせな・・・


グランドフィナーレ

どけどけー松明様のお通りだァ  八幡宮の境内は、大松明のご入場を待っている人でいっぱいだった。いいアングルを探して陣取りし合うカメラマン、金髪に青い目の参拝客、近所の子ども、皆今か今かと鳥居の方向を見つめていた。そして・・・
 しずしずと、供物を掲げた一行が、ゆっくりと鳥居をくぐり、拝殿に入っていった。しばしの静けさ・・・と、突如オリャーッというような掛け声とともに、法被姿に担ぎ上げられた松明が、嵐のように参道を走り込んできた。慌てて道を空ける人々。
【隊長取材中】
頭越しに松明進行 松明はそのままの勢いで、しめ縄の下をくぐり、拝殿の奥まで駆け抜けていったかと思うとたちまち外へ出てきた。一度境内で水に浸され,再び勢い良く社殿の中へ。さかんにシャッターが切られる。
 よくもまあ、木造の神社が燃えないものだと思いきや、過去の祭りで柱が焦げた個所があるのだという。全国広しといえどもこんな祭りはここだけであろう。
 そしてまた怒涛のごとく一行が外へ出てくると、すでに熾きになっている松明がバーンと参道に投げられる。争うようにその熾きを拾う人々。これを拾うと一年間無病息災で暮らせるのだそうな。
 拾い終わると、満足したギャラリーたちは順番に家路につき、やがてさっきまでの喧騒がうそのように、境内は静けさに包まれたのであった・・・

 いや、誰かの携帯電話が鳴っている。たった一人、仲間とはぐれてしまった迷子のC隊員に、O君が親切にも居場所を知らせてくれているのであった。
 無事合流してみると、I隊長はでっかい松のかたまりを持って得意そうであった。あたり一面、松やにの匂いが漂っている。
【オキ拾う人々】
モチ拾いより壮絶 これで向こう一年の健康を約束された一行は、満足感に大きなあくびをもらしながら・・・
 この時、時計は4時半を回ろうとしていた・・・それぞれの家へと急いだのであった。(C隊員)

◆ひとくちメモ◆

・ 松明の後ろを歩く際は、路上に注意してください。
 (オキや割れたビール瓶が落ちている場合有り)
・ 松明に近づき過ぎると、かなり熱いです。
・ 地元の人と友達になって、一緒に行動すると便利です。(裏道をおしえてくれる)
・ 青い上着を着ていると、祭り関係者と間違えられる可能性があります。