満天土佐イメージ

探検隊、カツオに酔う の巻



 探検隊ルポ★Vol.5 第13回 平成14年5月に開かれた「かつお祭」の様子
Vol.05探検日 H14.5.19 AM10:00〜PM3:00】
 こちらのHPをご覧いただいている方には既におわかりかと思いますが、ここ中土佐町は全国に誇る鰹の國であります。犬も歩けばカツオに当たり、若い女性はアクセサリーとしてカツオのヒレを耳からぶら下げている。物の単位は、全て「カツオ」に統一されている。「1カツオ、2カツオ…」 そんな本気まじりの冗談が語られるほど、ここの暮らしはカツオなくして成り立たないものとなっているのである。
 そんな中土佐町の一大イベント、第13回カツオ祭りの開催が近づくにつれ、町内はただならぬ雰囲気に包まれ始めていた。大通りからは子どもの姿が消えた。噂では、ハロウィンのかぼちゃならぬ、かつおオバケの着ぐるみを全員で作っているらしい。
 また、人々は祭りまで「カツオ」という言葉を発するのを控えているという。当日、いやでも何度となく「カツオ」と言わなければならないので、それまでは鰹のことを「例の魚」「あの青いやつ」「ハニー」などと言い換えているのである、云々。


かつお祭 久礼
 そういった都市伝説ならぬ漁師町伝説の真偽はさておき、日ごろのカツオへの感謝の気持ちと、町のさらなる発展を願って開かれるこの町の一大イベントが、カツオ祭りであります。今年第13回目を数えるこの祭りには、我らちょこっと探検隊も普段より気合を入れて臨んだのである。本来であればカツオサポーターとして顔に青と白の横縞をペイントして突撃するところ、社風にそぐわないとの理由で中止となった。その代わり、上記のとおり半日以上祭り会場へ潜入し、密着取材を行ったのである。以下は、その戦慄の記録である…なお、今回はちょこっと長くなりますので、いつもと変わった構成でお届けしてまいります。どうぞ気長にお付き合いください…
 4月の終わりから梅雨を思わせるような天候が続いていたが、祭り当日の日曜日は、雲がありながらも初夏の太陽の日差しふりそそぐ、絶好の祭り日和となった。I隊長、C隊員、そして先日入隊したばかりの最年少T隊員の3名は、デジカメを握り締め祭り会場の久礼八幡宮イベント広場方面へ向かった。
 海岸沿いに続く通りは、普段の静けさが嘘のように、白いテントがひしめく露店市場と化していた。そしてそこを行き交う人、人、人… 昨年暮れの「久礼の朝市」の人出を上回る多くの人で、早くも会場周辺はごったがえしていた。広場のテント下に用意された腰掛と長テーブルは既に満杯で、観光客が新鮮なカツオ料理に舌鼓を打っていた…
かつお祭 久礼


その一 かつおカレーの真実

かつおカレー 会場となっている通りに軒を連ねる出店は、それぞれここならではのカツオ料理をPRしているのだが、その中に見逃せないフレーズを発見した。その名も「かつおカレー」。店の綺麗なお姉さんに聞いてみた。
「カツオが入っちゅうがよ」…そのまんまである。しかし、のみならず、カツオでダシもとっているという。これはこの地でしか味わえない味覚に違いない…入隊後初参加のT隊員の目が光った。これを試さずして探検隊の明日はない。
 地球にやさしい紙容器に盛られたあつあつのカレーを、早速いただいてみることにした。一見するとごく普通のカレーだ。ジャガイモ、ニンジン…その合間に、場違いを恥じるかのように、細かくなったカツオの身が見え隠れしている。口に入れる…やはり普通のカレーである。正直言って、カツオの風味は皆無である。「やはり普通のカレーだった…」スプーンを口へ運びつつ、視線は海の彼方へ…
 しかし、食べ進むうちに、口の中に「?」と疑問符が浮かび始めた。普通のカレーと、何かが違う、と、口の中の幾億もの味蕾細胞が告げているのである。甘い。カレーなのに、ほのかな甘味がある。むろん、糖質の甘味ではない。旨みといえばよいのか。これがカツオだしの底力というものであろう。カレーの強烈な個性に消されたかと思いきや、じわじわと存在感を示し、やがて口の中を席巻してしまうカツオの風味… 海風でとっくに冷めてしまっているのに美味しいそのカレーを、一時でもカツオをあなどった慙愧の念にかられ涙を流しつつ、最後まで平らげた。おそるべし、カツオ。万歳、かつおカレー…

その二 炎のカツオたたき星人

鰹の藁焼きタタキ ここ中土佐町久礼のカツオ産業には、ひとつの伝説がある。それは、遠い宇宙の彼方・カツオ星から、ある日地球にやってきたカツオ星人が、カツオたたきの作り方をこの地の人々に伝えた、というものである。
 そして、現在この地でカツオたたきづくりを生業とする人々には、カツオ星人の血が流れているという。
鰹の藁焼きタタキ
鰹の藁焼きタタキ
鰹の藁焼きタタキ
鰹の藁焼きタタキ

その三 テングサの逆襲

八千代も思わず「お疲れさま…」 テングサ。海草の一種である。寒天の原料であり、久礼名物のところ天の原料でもある。涼しげなガラスの器に、たっぷりのつゆを注ぎ、ぷるぷるとふるえる半透明のトコロテンを浸す…夏の物憂い午後、おやつ代わりのこの一杯は、誰でも味わったことのある懐かしい味わいに違いない…
 し・か・し!そんな甘い感傷を打ち砕く、恐るべき戦いのゴングが鳴った。「ところ天早喰い競争」…「食」でなく「」であるところが何だか余計怖い。このイベントについては、あまり解説は要るまい。3分という時間内に、どんぶりに入ったところ天を何杯食べられるかを競うオーソドックスな早食いレースである。
キンキンに冷えた鰹 町内外から集結した大食漢たちが、ところ天との死闘を繰り広げた結果、今年の記録は12杯(男性の部)であった。1等賞金は男女それぞれ3万円。ところ天が「死ぬほど嫌いだ」と公言していたT隊員であったが、レースの一部始終を見て、さらに賞金額を聞かされた彼は、小さな声ながらも固い決意をもってつぶやいた。「…来年、出ます」
 皆様、来年この祭りを見物に来られる際にはぜひ、ところ天早喰い競争もお見逃しなく。目を白黒させて、トリ肌をたてながらトコロテンを飲み下す青年に温かいご声援を…「ところ天早喰い競争」写真集

その四 すわ、フーリガンか!?

キンキンに冷えた鰹 さてさて、ついにやってきました祭りのメインイベント・土佐の一本釣り競争。迫力満点、観客も参加者も楽しめるこの競技。
熱い戦いに観客は…意外と淡白…? なお、カメラでは写しきれなかったが妙に目に焼きついた光景を…
 出場者が真剣(たぶん)にカツオを“釣って”いるその手前の海面に浮かぶ、怪しい黒いイガグリ頭が二つ。さては、サッカー場に現れその熱狂的なサポーター活動転じて暴徒と化す、悪名高きフーリガンが、このかつお釣り競争にもやってきたのか…?
しかしよく見ると、まだいたいけな少年、しかも水面から足を突き出しバタバタさせている、大変だ、溺れているに違いない。早く救助しなければ〜〜〜
 察しのいい方はおわかりかと思いますが、彼らは地元の悪童、いやおぼっちゃんたち、何のことはない、お祭り大好きの彼らは、レース本線より目立ってやろうと、観客の真ん前でシンクロナイズドスイミングを披露していたのである。プロ顔負けのその見事な足さばきに、客席からはオール10点満点の札が上げられていたとかいなかったとか… 目指せ、次期五輪!!